明恵上人



        鎌倉時代に和歌山県・有田で生まれた仏教の偉人です。

        私は昔地元の人が彼について「ゆかりの石があります」

       と言うのを聞いたことがあるが、ほとんど忘れていました。

        今回のサトリで悟った人を探すようになり、当然のこと

       として、仏教の歴史的な人物に興味を持つようになり

       ました。



        高橋佳子さんの「明智の源流へ」という本には多くの人

       について書かれていて随分参考になりました。

        そのなかに明恵上人が取り上げられていました。

        「あるべきようわ」

        人は如何に生きるべきか、を問い続けた人であり、釈尊

       への強い憧憬が彼の特徴だと思います。



        新しい本を見つけました。

        「明恵上人・愛蔵版 白洲正子」です。

        旧版にくらべ、写真が多く、きれいに作られた本です。

        また河合隼雄氏との対談が付けられていて二人の明恵上人

       への思い入れの強さが分かりやすいのもうれしく思いました。

        私的には明恵上人の神秘体験について書かれていることが

       大変うれしいことです。

        明恵上人は有田の栖原というところで

       「金色に輝く獅子に乗った文殊菩薩を見る体験」されたそうです。

        上人は華厳宗の熱心な信者であったのでそのような体験をされた

       のかもしれません。

        私は「明けの明星を見たもの」として、お釈迦さんや、

       弘法大師が見たのと同じ「明けの明星を見たときにそのような

       感覚的な捉え方をされたのではないかとも考えます。

        いずれにしても「その後の上人の働きは大変なもので勢いは

       衰えることを知らず、ますます盛んに立っていることは驚きに

       値する」と白洲正子さんは書かれています。

        これはサトリの体験者共通の特徴です。

        私はこのような状態になるのはサトリによる頭脳の変化だと

       考えています。

        神経伝達物質のバランスとわずかな量的変化、と右脳の使い方

       の変化などがもたらす不思議な人格的変化と言ってよいでしょう。



        ほんものの「神秘体験」は時間をかけて

               「凡人を菩薩や仏へ」と変えてゆきます。



                十牛図6枚目参照はこちら